第17号
感染症、在宅ワークがもたらしたものとは
2020年1月中国・武漢に端を発した、新型コロナ感染症の猛威は恐るべき感染力でわずか3ヶ月の間に国内から、世界中にまで蔓延してしまった。
              日々対応されている医療機関の関係者の方には、恐らく身を投げ打って献身的に就業されているかと思うと頭の下がる思いである。
              感染症の専門家によると、ウイルスを完全に抑え込むことは不可能であり、有効なワクチン開発は効果を見極めて実際に使用できるまでは1~2年は最低掛かってしまうとか。
              ウイルスは人感染なのでお互いの接触を断つしか方法は無い。よって仕事でも、学校でも、レジャーでも、趣味でも、買物でも、それらの危険を回避するためにはその場に行かないことを半ば強制することで防御している。
              
              今回の感染症は、これまでの日常的な世界をがらりと変えてしまった。まるで未来を予言したSF小説や映画が現実となってしまったようだ。
              人接触が避けられない、飲食業や宿泊・観光、交通機関、イベント、スポーツジム、遊技場、接客業などは致命的な打撃を被っており、街中では休廃業が目の当たりに起こっている。
              
              身近なところでは勤務していた社員には緊急事態宣言の発令とともに、在宅ワークを指示した。
              つい最近まで、働き方改革でワークライフバランスなどと日本人の働きすぎがメディアのテーマとなっていたが、不思議なことにこれが一気に話題とならなくなった。
              
              すなわち、会社に行かないことは悪だと思われていた常識が覆されたということ。いつかはやらなければならなかったことが一気に進んだ。
              ・通勤電車に長いこと揺られて往復の時間と体力の消耗をしなくても良くなった。
              ・通勤時間が睡眠時間や家事労働に当てられる。
              ・普段できなかった家族サービスが出来る。家族一緒に食事が出来る。風呂も続けて入れる。
              ・営業員が、不要不急な外出や出張に出かけなくなった。
              ・会議が好きな上司や経営者との長時間拘束が無くなった。
              ・環境が変わってクリエイティブな発想で仕事に効果が出てきた。
              ・実働時間が増えたので、仕事が片付くのが早くなった。
              ・有給休暇の取得が取り易くなった。
              
              テレワーク・Webミーティングの効果は多くのメリットをもたらしたようだ。
              ・お互いの発言の途中で遮られることも無く、短時間で集中して用件が片付く。
              ・移動時間の節約と経費の削減に大きな効果があった。
              ・過剰なオフィススペースの見直しが始まった。
              
              そして最も大きな効果は・・・
              言わなくてもやる人と、やらない人の分別がはっきりと分かったことである。
              メリットの裏返しはデメリット、相反しているように思えるが、指示が無いと動けない、みんなが見ていないとサボってしまう、会社でやることが無いので仕事を作ってしまう、昔ながらの訪問・面談がやめられない、相手もテレワークなのに電話を掛けまくっている、時間があるのに資料が作れない、もともと報連相が出来ていないので拍車がかかってしまった、どんな相手でもメールを送って済ませてしまう、そして結果が出なければすべてコロナのせいにしてしまう、などなど、会社の利益に直結していた人間とそうでない人間がハッキリと見えて来たという事だ。
              けだし、世の中には時として不必要なモノも、ある程度の潤滑剤として必要とされてきた。
              しかし、今やギリギリのところで経済は動いている。皆、同じ条件で仕事をやらざるを得ない。シンプルなルールの中では透明感が増してくる、まやかしは効かない。
              作業改善、5S、「7つのムダ」に相通ずるものを感じた。現場もオフィスも長期戦を見据えてムダ・ロスは極力取り除かなければならない。